製缶加工で設備部品や構造物を製作する際、材料選定で悩まれる設計担当者や調達担当者の方は少なくありません。
特に、多くの製造現場で使用されるのが、SS材(一般構造用圧延鋼材)とSUS材(ステンレス鋼)です。
どちらも製缶加工では代表的な材料ですが、下記の観点で違いがあります。
SS材とSUS材の違い
- 耐食性
- コスト
- 加工性・溶接性 など
そのため、使用環境や設備の目的によって適切な材料を選定することが重要です。
当社においても、建築・土木基礎関連部品や特殊車輌部品、各種産業機械部品などの製作では、用途や使用環境に応じて材料を使い分けております。
そこで今回は、製缶加工でよく使用されるSS材とSUS材の違いを整理し、それぞれの特徴や用途、材料選定の考え方を分かりやすく解説します。
製缶加工で使用される代表的な材料|SS材・SUS材

「ロッドエンド」

「クロスカップラー」

「アンカープレート」

「巻取機部品」
製缶加工では、鋼材を中心にさまざまな材料が使用されます。
フレーム構造、設備部品、架台など、製作する製品の用途や使用環境によって材料を適切に選定することが重要です。
SS材(一般構造用圧延鋼材)とは
SS材は、建築や機械構造物など幅広い分野で使用される一般的な鉄鋼材料です。
代表的な規格として「SS400」があり、強度・加工性・溶接性のバランスに優れ、製缶加工でも多く採用されています。
比較的安価で入手しやすいため、構造部材や設備フレームなどの産業用途で使用される材料です。
SUS材(ステンレス鋼)とは
SUS材は、クロムを含む合金鋼で、一般的にステンレス鋼と呼ばれる材料です。
代表的な材料には、「SUS304・SUS316」などがあり、錆びにくく耐食性に優れている点が特徴。
水や薬品、湿度の高い環境でも腐食しにくいため、衛生環境や耐久性が求められる設備で多く使用されています。
なお、当社ではお客様からのご要望に合わせ、さまざまな素材を使用しております。
当社が使用する素材例
- SS400
- S45C
- SCM440(調質材)
- SUS304
- SUS420J2
- A5052(アルミ材) など
SS材とSUS材の違い
| 項目 | SS材 (一般構造用圧延鋼材) | SUS材 (ステンレス鋼) |
|---|---|---|
| 主な材料 | 鉄を主成分とする 一般鋼材 | クロムなどを含む 合金鋼 |
| 代表的 な規格 | SS400 | SUS304、 SUS316 など |
| 耐久性 | 錆びやすい (防錆処理が必要) | 錆びにくく、 耐食性が高い |
| 材料コスト | 比較的安価 | SS材より高価 |
| 加工性 溶接性 | 加工しやすく、 溶接性も良い | 加工可能だが、 熱変形などに注意 |
SS材とSUS材は外観が似ている場合もありますが、材料特性や用途などが異なります。
ここからは、製缶加工の視点における代表的な違いを紹介します。
耐食性(錆びにくさ)の違い

SS材とSUS材は、耐久性が大きく異なります。
SS材は一般的な鉄鋼材料のため、水分や湿気で錆が発生しやすく、用途に応じて塗装やメッキの防錆処理が必要です。
一方で、SUS材は表面に形成される不動態皮膜※によって腐食を防ぐため、錆びにくい点が特徴です。
※不動態皮膜:金属表面に形成される薄く緻密な酸化膜で、金属を腐食から保護する役割を持つ膜
材料コストの違い
材料選定では、コストも重要な要素の一つです。
SS材は一般的な鋼材のため価格が比較的安く、大型構造物や架台の製作でもコストを抑えやすい材料といえます。
一方で、SUS材は合金元素を多く含むため、同規格であってもSS材より高額になる場合が多いです。
加工性・溶接性の違い

製缶加工では、「切断、曲げ、溶接」などの加工性も重要です。
SS材は加工性と溶接性に優れ、大型構造物や機械フレームの製作でも扱いやすい材料といえます。
SUS材も溶接加工は可能ですが、熱変形や焼け対策が必要になるため、ステンレス特有の加工ノウハウが求められます。
SS材が使用される製缶加工製品
SS材はコストと加工性のバランスが良いため、多くの構造部品や設備部品に使用されています。
特に、下記のような用途ではSS材が採用されるケースが多いでしょう。
SS材が使用されるケース
- 印刷・油圧機器部品
- 設備フレーム
- 構造架台
- 大型構造部品 など
これらは「構造強度やコストバランス」が重視されるため、SS材が適している傾向があります。
ただし、あくまでも事例のため、使用用途や強度などから総合的に考慮することが重要です。
SUS材が使用される製缶加工製品
SUS材は、耐食性が求められる環境で効果を発揮する材料です。
そのため、下記のような設備や部品で採用されるケースが多いでしょう。
SUS材が使用されるケース
- 水処理設備部品
- 食品設備部品
- 薬品設備部品
- 耐食環境の機械部品 など
腐食環境や衛生環境で使用される設備では、SUS材を採用することで長期的な耐久性を実現できます。
製缶加工における材料選定のポイント

SS材とSUS材の選択で悩まれる場合は、材料の特徴や使用環境、設備条件などをふまえた総合的な判断が必要です。
ここでは、材料選定の際に確認すべきポイントを紹介します。
材料選定のポイント
使用環境を確認する

設備が使用される環境によって、必要な耐食性能は異なります。
屋内設備や乾燥環境であればSS材でも対応できることもありますが、水や薬品などを扱う設備ではSUS材が適している場合もあるでしょう。
コストと構造のバランスを考慮する
大型構造物や設備架台では、材料コストの影響が大きくなります。
そのため、構造部材にはSS材を使用し、腐食リスクのある部分にSUS材を採用するなど、用途に応じた材料設計が行われる場合もあります。
メンテナンス性を考慮する
設備は長期間使用されるため、メンテナンス性も重要なポイントです。
定期的な塗装メンテナンスが可能な設備であれば、SS材で対応できる場合もあるでしょう。
しかし、メンテナンスが難しいような環境では、SUS材の方が適しているケースもあります。
まとめ|製缶加工の材料選びでは「用途と環境」を踏まえた判断が重要
製缶加工で使用されるSS材とSUS材には、下記のような違いがあります。
| 項目 | SS材 (一般構造用圧延鋼材) | SUS材 (ステンレス鋼) |
|---|---|---|
| 主な材料 | 鉄を主成分とする 一般鋼材 | クロムなどを含む 合金鋼 |
| 代表的 な規格 | SS400 | SUS304、 SUS316 など |
| 耐久性 | 錆びやすい (防錆処理が必要) | 錆びにくく、 耐食性が高い |
| 材料コスト | 比較的安価 | SS材より高価 |
| 加工性 溶接性 | 加工しやすく、 溶接性も良い | 加工可能だが、 熱変形などに注意 |
SS材はコストと加工性に優れており、建築・土木基礎関連部品や設備構造物などの用途で使用される材料です。
SUS材は耐食性に優れており、水や薬品を扱う設備や腐食環境で使用される部品に適しています。
材料選定の際は下記のポイントを押さえることで、長期的な設備性能の維持につながるでしょう。
材料選定のポイント
1966年創業の紀陽工作所では、長年の製缶加工の経験を活かし、用途に応じた材料選定と製作に対応しております。
建築・土木基礎関連部品や特殊車輌部品、各種産業機械部品の製作をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。


