【施工実績】花重リノベーションに参画しました|創業150年の歴史ある建物を未来へつなぐ

【施工実績】花重リノベーションに参画しました|創業150年の歴史ある建物を未来へつなぐ

当社は、創業150年の歴史を持つ「花重」のリノベーションプロジェクトに、鉄骨フレームを構成する無垢材の機械加工の一員として参画いたしました。

歴史的建築の価値を尊重しながら新しい機能を融合する本プロジェクトでは、建築のスケールでありながら精密加工に近い高精度が求められました。

今回は、花重リノベーションプロジェクトの設計思想を支える加工技術や製作工程の一部を紹介します。

目次

花重リノベーションへの参画について

場所は、谷中霊園(東京都台東区)の入口付近。

かつては谷中茶屋町として軒を連ねた、創業150年の歴史をもつ「花重」のリノベーションに参画いたしました。

創業150年の歴史を持つ建物を次の時代へつなぐ取り組み

引用:花重オンラインショップ

本プロジェクトは、長い歴史の中で増改築を重ねてきた建物の価値を尊重しながら、新たな役割を加え、未来へつなくことを目的としたリノベーションです。

本件は、このエリアで古民家再生に取り組んできた「たいとう歴史都市研究会」との協働により進められました。

歴史ある建物では、既存部分と新設部分をどのように調和させるかが重要です。

そこで今回は、それぞれの時代の要素を活かしながら有機的に接続することで、建物が持つストーリーを未来へ継承していくことが重視されました。

紀陽工作所が施工の一員として参画した背景

当社は「鉄骨フレームを構成する無垢材の機械加工の一員」として、本プロジェクトに参画。

花重の構造をご担当された金田充弘さんに、高度な加工技術が求められる部材における当社の機械加工技術をご評価いただいたことがきっかけです。

本件は建築のスケールでありながらも、精密加工に近い精度が求められる場面も多く、細部まで妥協しないものづくりが求められます。

そのため、長年培ってきた加工技術と職人の経験を活かし、専門家との協働を通じて設計者の意図を形にする役割を担わせていただくことで、当社にとっても大きな学びと挑戦の機会となりました。

金田充弘さん

【経歴】
1970年 東京都生まれ
1994年 カリフォルニア大学バークレー校環境デザイン学部建築学科 卒業
1996年 カリフォルニア大学バークレー校工学部土木環境工学科修士課程 修了
1996年 Arup入社
2021年 東京藝術大学美術学部建築科 教授

【受賞】
2002年 第12回松井源吾賞「メゾンエルメス」
2003年 第44回BCS賞「メゾンエルメス」
2004年 アメリカンウッドデザインアワード「米原幼稚園」
2005年 アーキテクチャーレビューアワード「砥用林業センター」など

参考:金田充弘 (構造家) – Wikipedia

花重リノベーションの設計思想を実現するための「高精度な加工技術(誤差0.01mm)」

本プロジェクトにおける設計思想を実現するためには、部材の加工だけではなく、接合方法や施工時の組み立て精度までを見据えた製作が不可欠です。

そのため、当社が長年培ってきた機械加工のノウハウを活かし、誤差0.01mmという高精度な加工を実現いたしました。

こうした精度は完成後には目立たない部分でありながらも、構造全体の完成度や美しさを支える重要な要素となります。

ここでは、その一部をご紹介いたします。

フレーム頂部の形状加工

フレームの頂部は特殊な形状になるため、60mm角の無垢材からではなく、60mm厚の鉄の塊から切り出す方法を採用いたしました。

素材の段階から加工方法を見直すことで、必要な精度と強度を確保しております。

60mm角の柱

こちらは、60mm角の柱となる材です。

一本の柱であっても、接合部の穴位置が面ごとに異なるため、加工ミスを防ぐ目的で赤い印を付けながら作業を実施。

こうした細かな確認の積み重ねが、高精度な施工につながります。

加工中の梁受け

こちらは、加工中の梁受けの写真です。

設計図面をもとに細かな調整を行いながら、丁寧に加工を進めました。

梁受けと接合する梁端部の穴あけ加工

こちらは、梁受けと接合する梁端部の穴あけ加工時の写真です。

部材は長くなるほど重量が増すため、機械加工であっても裏返しや位置調整が必要になると工程コストが増加します。

そのため、今回は片面からの加工のみで完結できる形状にすることで、作業効率を高めながらコスト削減も実現いたしました。

柱材同士または柱材と頂部を接合する面の形状加工

こちらは、柱材同士または柱材と頂部を接合する面の形状加工時の写真です。

加工時には、水をあてて冷却をしながら削り出しを行います。

これにより、熱による変形などを抑え、安定した精度の維持が可能になります。

部材の使用イメージ(リノベーション後の花重)

以下のように、花重のカフェスペースの柱に当社が製作した部材を使用いただいております。

既存の木造建築を継ぐように拡張された鉄骨フレームで、新旧バランスを維持したうえでの改修に貢献いたしました。

ご参考:花重谷中茶屋のご紹介

引用:花重オンラインショップ

谷中霊園入口付近に位置する「花重」は、創業150年の歴史を持つ花屋です。

地域住民に親しまれてきた伝統を大切にし、新たな魅力を加えた複合的な空間としてリノベーションが行われました。

花屋としての役割に加え、カフェスペースなども併設されており、訪れる人がゆったりと時間を過ごせる場所として生まれ変わっています。

2024年:GOOD DESIGN AWARD受賞

引用:GOOD DESIGN AWARD

花重谷中茶屋は、建築的な価値や空間デザイン、歴史的建築の新しい活用方法が評価され、2024年にGOOD DESIGN AWARDを受賞されました。

長い歴史を尊重しながら現代的な機能を融合させた取り組みが、多方面から高く評価されています。

アクセス

花重谷中茶屋は、東京都台東区・谷中霊園入口付近に位置しています。

日暮里駅や鶯谷駅から徒歩圏内にあり、散策や観光の途中にも立ち寄りやすい立地です。

今回の施工を通じて|紀陽工作所のこれから

本プロジェクトへの参画を通じ、建築における精密加工技術が果たす役割の大きさを実感いたしました。

設計者や構造設計者などの専門家との協働により、各技術が一つの形として結実していく貴重な経験となりました。

このような機会をいただけたことに、この場をお借りし心より感謝申し上げます。

完成後には見えにくい部分の精度こそが、建築全体の品質や美しさを支える重要な要素の一つであると考えています。

紀陽工作所では、磨き続けてきた技術力を活かし、今後も高精度なものづくりを追求してまいります。

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